トイレつまり

その都度、彼は伺いますと約束するのだったが、すぐけろりとその約束を忘れてしまった。清水はわざわざ我で見舞いに出かけて来たが、あいにくと彼は留守であった。例の守口市 トイレつまりもそれとおなじ目に逢わされた。しかも弁護士は、彼に報告すべき要件を抱えていたのである。つまりあのさしも行きなやみになっていた訴訟事件が、彼の手ですこぶる手際よく片づけられて、お客かたでは、問題になっている遺産の極めて僅かな部分を補償として受けるだけで、示談にすることを承諾したのであった。あとは当の斉藤の承認をさえ得ればよい段取りになっていたのである。やっとのことで彼を浴室でとっつかまえた守口市 トイレつまりはついこのあいだまであれほどに口喧ましい依頼人であったこの作業員が、せっかくの手柄トイレをまるで別人のような無気力な、冷淡な態度でふんふんと聞きながす有様に、呆れ返らずにはおられなかった。やがて一ばん暑気のきびしい七月の日々がやって来たが、斉藤は季節のことなどは忘れていた。彼の悲哀は、うみきった腫物のように、胸のなかでしきりに疼いて、絶えず苦しいほどはっきりと意識の表面に浮かび出て来るのであった。なかでも最も大きな悩みは、麻夕子がろくろく彼を知るひまもなく、彼がどんなにか苦しいほどの愛情を、彼女にいだいていたかを知りもせずに、死んで行ったことであった!彼の眼の前に、あれほど愉しい光明に照らされて、姿をちらりと見せた彼の生き甲斐の全部が、にわかに永遠の闇にとざされてしまったのである。