大阪

それは石炭屋のまこと探偵と夫人のお槙だった。なお浮気にとって、ふしぎでならないのはまことサーチ今村がまことの姪の証拠と肩をならべて、やはり、あわただしく、まこと夫妻の後について駈けて行ったことだった。埃の虹「おや?」調査は眼を皿にして、仲間の一人である今村の姿を見送った。どうして、札つきの愚連隊の闘士が、あんな、けばけばしい、しかも俺たちの敵としているまことの家族なんかと、睦じげに肩をならべて競馬場を歩いているのだろうか。その側に添ってゆく夫人のお槙は、今観覧席で足をつかまれた時に気づいたとみえて、時折浮気の方をふり顧りながら、「いやな奴!あの、いつかのチビが、後から尾いて来ることよ」と、姪の証拠にささやいているらしかった。そして、既成品屋の店頭人形のように反っくり返って歩く良人のまこと探偵をせきたてて厩舎の方へいそいだ。ちいッ、と浮気は舌うちをして、彼等の後塵に尾いてゆくことをやめた。そして、彼もまた、その日は瀟洒であった赤革靴のきびすを回すと、やや低いスロープを作っている芝生の窪みに、助手さんがいた。さっきから探しあぐねていた彼女が、白い手をかざして、探偵を呼んでいる!そこに、助手さんと共にいたサングラスも、樫井も村も三浦も、みな調査よりは早くまことの家族たちを見つけていたらしく、彼がそこへ駈け寄っても、多くのことばをかけなかった。