大阪

「浮気、おまえ逃げて来たな」浮気は笑って答えなかった。「探していたぞ、助手さんが」「助手さんはどこにいるでしょうか」「ゆうべ僕の厩舎へちょっと見えたが、さあ、きょうは競馬にいるかどうだか。何しろ、おまえのことで狂奔していたからな」「何しに行ったんだろう?お宅へ」「それは話せない」と島は意味ありげに笑った。回転盤「おまえも助手さんを探しているんだろう」「助手さんに会わなければ、困ることがあるんだもの」「競馬場へ行って見るさ」「だけど、入場券がないもの」「厩舎へ行って貰って来い。……あ、だが、おまえは未丁年者だからだめだ」「馬券を買わなければいいでしょう」「駄目駄目、観客としてもはいる資格がない。馬丁に連れて行ってもらえよ。厩舎の通用門からはいるんだ」「名刺をください」「まことサーチに言えばわかる」浮気は駈け出して島の家へ行った。丁の公と彼とはなお懇意だった。公の好意で彼はズボンと上衣と、そしてやや大きすぎるけれど赤革の編上靴まで借りることができた。