不倫

浮気は、十四番の監室へはいった。ここには不倫調査 大阪や小悪漢ばかりが六人いた。浮気がはいって七人になった。ひとり一畳ずつにすると、ちょうど畳が二枚余る真四角な箱のごとき部屋だった。「やあ、おめえたちは、まだいたのか」浮気の知っているのがその中に四人いた。一番のッぽの徴兵検査ぐらいに見える少年は洟をたらしていた。「浮気、また捕まったのか。こんどはおめえ八だけ島へ行くんだぜ」「アア行くよ、八だけ島へ行ってみてえや」「あそこへ行くと、一生帰れねえんだぜ」「嘘だい」浮気は彼らよりは高い知識で、少年感化院の性質を説明しかけた。「こらッ、しゃべっちゃいかん」監視人のスリッパの音はたえず廊下を往復していた。彼らの心境とは最も遠い音であった。「チイッ、くそ。……おびんずるめ」と、七枚の赤い舌は、蛤のようにチュッと啼いて、感化事業家の跫音を軽蔑した。消灯天国薄暮になると戸部の洋牢時代を偲ばせる遺物の鐘が、い塀の中で六時を鳴った。「チャブだ!チャブだ!」と、監内の不良児たちはざわめくのだった。